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徳島地方裁判所 昭和39年(わ)157号 判決 1964年6月24日

本店所在地

徳島市幸町三丁目二八番地

若松建設商事株式会社

右代表取締役

橋本勲

本籍ならびに住居

徳島県板野郡松茂町広島一番越三番地の一

右会社代表取締役

橋本勲

明治四二年四月一八日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、険察官森智弘出席のうえ審理を遂げ、つぎのとおり判決する。

主文

被告会社を、判示第一事実につき罰金三〇〇万円に、判示第二事実につき罰金五〇〇万円に処する。

被告人橋本勲を懲役一年に処する。

ただし、本裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(事実)

被告人若松建設商事株式会社は徳島県板野郡松茂町広島に本店を有し(昭和三八年一月三日本店を肩書所在地に変更)酒類の小売販売ならびに貸金等を業とするもの、被告人橋本勲は同会社の代表取締役としてその業務一切を統括処理するものであるが、被告人会社の業務に関し法人税を逋脱しようと計り、

第一、昭和三五年四月一日より昭和三六年三月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得は少くとも八〇五万七、一七四円(法人税額二九六万一、六九〇円)であるにかかわらず、貸付金利収入の一部を除外しこれらを架空人名義で預金する等の方法により所得を隠匿し、昭和三六年五月三〇日徳島県鳴門市所在の所轄鳴門税務署で同署長に対し法定の確定申告をするに際し同事業年度の所得は零である旨虚偽の申告書を提出し、もつて詐欺不正の手段により同事業年度の法人税二九六万一、六九〇円を逋脱し、

第二、昭和三六年四月一日より昭和三七年三月三一日までの事業年度における同会社の実際の所得は少くとも一、四四五万六、〇二四円(法人税額五三九万三、二八〇円)であるにかかわらず、前同様の方法により所得を隠匿し、昭和三七年五月二八日前同税務署で同署長に対し法定の確定申告をするに際し同事業年度は一九五万八、〇六五円の欠損である旨虚偽の申告書を提出し、もつて詐欺不正の手段により同事業年度の法人税五三九万三、二八〇を逋脱し

たものである。

(証拠)

判示両事実につき

一、被告人橋本勲の当公廷における供述

一、右被告人の検察官に対する供述調書一二通

一、右被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書五一通

一、法務局登記官作成の登記簿謄本

一、大蔵事務官安岡功作成の証明書(添付の脱税額計算書等を含む)

一、右同人作成の調査報告書(添付の貸借対照表、損益計算書、貸付金および受取利息計算表を含む)

一、大蔵事務官中勇作成の証明書二通(各添付の法人税申告書写を含む)

一、税務署長湯浅浩史作成の証明書

一、藤井恵美子、藤中光彦、八束宏子、瀬富益造、久次米憲二作成の各証明書

一、近藤武男作成の上申書

一、橋本勲(二通)、播磨泰雄作成の各確認証

一、伊勢谷孝雄、川田栄(二通)、片山政市、中筋嘉春、青山正二、笠井日善、大塩頼夫、谷崎一夫、武岡円二、荒川治三郎、前川文吉、竹口武男、橋本勲、平野伊之太、泉利貞、前田義詔、阿部忠由、大庭和一郎、富宅護(三通)、山本素一、岡林一美、藤岡益夫、高瀬喜邦、那須ミサ子、山端義文、木村清、太栗健介、坂口敏、津野カツエ、西岡文一(四通)の検察官に対する各供述調書

一、伊勢谷孝雄、中川光輝、川田栄(二通)、郡新一、青山正二、笠井日善、橋本勲、大庭和一郎、富宅護(五通)、藤岡益夫(五通)、高瀬喜邦(二通)、山端義文(二通)、木村清(二通)、太粟健介、富山輝夫、津野カツエ、葛和ムメ、西岡文一(九通)の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、枝川竜助作成の上申書

一、検察官作成の電話聴取書三通

一、押収中の刑第一号証ないし第三〇八号証

(適条)

判示事実 各法人税法第四八条第一項(被告人会社については同法第五一条第一項、第五二条、被告人橋本勲につき懲役刑選択)

併合加重(被告人橋本につき)

刑法第四五条前段、第四八条本文

刑の執行猶予(被告人橋本につき)

刑法第二五条第一項第二号

(裁判官 浜田武律)

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